小さな会社を強くする「ブランドづくり」の教科書 ― 売上停滞に悩む経営者の方々へ

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スモールモル
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「いい商品をつくっているのに、なぜか売れない…」
「口コミでは好評なのに、売上に直結しない…」と悩んでいませんか?

小さな会社や個人事業主の方々が抱える悩みの多くは、この“売れない壁”に集約されるのではないでしょうか。実際、私自身もブログ運営や会社員の経験を通じて、「良さが伝わらない」ことの難しさを何度も痛感してきました。

そんなときに出会ったのが、岩崎邦彦さんの『小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書』です。本書は「大企業のように莫大な広告費や組織力を持たなくても、小さな会社だからこそできるブランド戦略がある」ということを教えてくれます。今回はこの本を参考にしながら、小さな会社の経営者・個人事業主の方々に向けて「ブランドの力で売上を伸ばすためのヒント」を整理してみたいと思います。


1. ブランドは「選ばれる理由」をつくる武器

そもそもブランドづくりとは何か。それは本書では
『顧客の心の中に品質を超えたポジティブなイメージを形成し、顧客との感情的なつながりをつくること』だと書かれています。
まず押さえておきたいのは、ブランドとは単なる「ロゴ」や「デザイン」ではなく、「お客様が御社の商品を選ぶ理由」そのものだという点です。
私は本書を読んで初めて『タイブレーカー』という言葉を知りました。タイブレーカーとは同じ価格と品質であれば消費者はブランド力の強い商品を選ぶ、ブランドは同点のときに勝ち負けを決めるものだということです。
強いブランド力がある商品を持っている企業は好業績であることが多いそうです。
それを表す公式は
数量プレミアム効果×価格プレミアム効果×リピート効果×口コミ効果
=好業績

  • 数量プレミアム効果 →品質が同じであっても他の商品より選ばれやすい
  • 価格プレミアム効果 →高い価格設定ができる
  • リピート効果    →また購入したいと思う
  • 口コミ効果     →顧客が顧客を呼ぶ

こうした「他では代替できない価値」を言語化し、伝えるようにするのです。すると不思議なことに、値段の安さや知名度で勝負するのではなく、「この人から買いたい」「この企業のこの商品を買いたい」という声が増えてきます。岩崎さんも本書で「ブランドは小さな会社にとって最大の武器になる」と述べています。つまり、売上停滞の原因は商品の品質にあるのではなく、「魅力が伝わっていない」ことにあるのかもしれません。


2. ブランドづくりの基本は「ストーリー」にある

ポイント
①消費者の心の中に明快なイメージが作られる必要がある
②センスやデザインによって消費者の感性に訴える必要がある


本書の大きな特徴は、ブランドづくりを「ストーリー」という切り口で解説している点です。大企業は広告費を投下して知名度を築けますが、小さな会社はそうはいきません。その代わりに使えるのが「ストーリーの力」です。商品が生まれた背景、作り手の想い、苦労や工夫の積み重ね――これらを物語として伝えることで、お客様の共感を呼びます。

例えば、ある地方の和菓子屋さんのケース。味は確かに美味しいのに地元以外ではほとんど知られていませんでした。しかし「職人が毎朝3時に起き、祖母から受け継いだ製法を守りながらつくる」というストーリーをSNSや店頭で発信し始めると、遠方からも注文が入るようになったそうです。私自身もブログを続けていて、「情報そのもの」より「それをどうして伝えたいと思ったのか」という背景が読者に伝わると共感を呼ぶことができます。つまり人はモノではなく「物語」に心を動かされるのです。
岩崎さんは「小さな会社こそ、商品に宿る物語を掘り起こし、丁寧に伝えるべきだ」と強調しています。商品の質に自信がある方ほど、その裏側にある人間味や情熱を、もっと前に出してみると良いかもしれません。


3. ブランドを育てるのは「お客様との関係」

最後に、本書が繰り返し伝えているのは「ブランドはお客様との関係性によって育まれる」という視点です。小さな会社にとって理想的なのは、一度買って終わりではなく、「またこの人から買いたい」と思ってもらえる状態をつくること。そのためには商品力だけでなく、購入体験全体をブランドとして設計する必要があります。例えば、購入後に届くメールや手紙、梱包のちょっとした工夫、アフターフォローの一言。こうした細部の積み重ねが「この会社は信頼できる」という安心感を育てます。

私の知人の工務店では、完成後のお客様に「家づくりアルバム」をプレゼントしています。建築途中の写真や職人のコメントを一冊にまとめたものですが、これがとても好評で、紹介やリピートにつながっているのです。まさに「体験をブランド化」している好例だと思います。岩崎さんも「小さな会社だからこそ、お客様一人ひとりと深い関係を築ける」と語っています。これは大企業には難しい強みであり、ブランド戦略の核心だと感じます。

ブランド・アイデンティティ
=ブランドのありたい姿
これを実現するための要素が3つあります。それは「価値性」・「独自性」・「共感性」です。消費者にとって価値があり、個性があり、いいね、と思ってもらえることが大切です。


まとめ:小さな会社の未来はブランドで変わる

『小さな会社を強くする ブランドづくりの教科書』を通じて学べるのは、ブランドづくりが決して特別なものではなく、日々の仕事の中に根ざした取り組みであるということです。

  • ブランドは「選ばれる理由」をつくる武器
  • ブランドの核は「ストーリー」にある
  • ブランドは「お客様との関係」で育つ

この3つの視点を実践するだけでも、自社商品の魅力をより伝わりやすくできるはずです。小さな会社や個人事業主の方々にとって、広告費や規模では大企業に勝てません。しかし「人に伝える力」と「関係性を育てる姿勢」なら、むしろ小さいからこそ強みになります。本書では名前は人の行動を変える力を持つ、と書かれています。「買いたくなる」「売りたくなる」「使いたくなる」これら人の感情を刺激するようなブランド名、ブランドづくりを目指したいですね。
もし今、「商品の質はいいのに売れない」と悩んでいらっしゃるのであれば、それは商品の問題ではなく「ブランドの伝え方」の課題かもしれません。この本は、その突破口を示してくれる一冊です。商品のストーリーを掘り起こし、ブランドという形に育ててみませんか?その第一歩が売上の停滞を打破し、長く愛されるビジネスへの道になるはずです。

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