
仕事で「ちゃんと説明したはずなのに、なぜか伝わらない」と感じたことはありませんか。
本記事では、柿内尚文さんの著書『バナナの魅力を100文字で伝えてください』をもとに、あなたがすぐ実践できる“伝わる伝え方”の本質を分かりやすく解説します。
①伝わらないことは存在しないことと同じ
私たちは日々、仕事で多くの説明や報告をしています。しかし「伝えた」と「伝わった」は別物です。相手の記憶に残らなければ、それは存在しないのと同じ。
本書で紹介されるエビングハウスの忘却曲線によると、人は20分後に約42%、1日後には約66%、1ヶ月後には約79%を忘れてしまいます。つまり、一度伝えただけでは、ほとんど残らないのが前提なのです。
だからこそ重要なのが「伝える頻度」。同じ内容でも、角度や言葉を変えて繰り返すことで、ようやく相手の判断材料になります。忙しい会社員ほど、「一度言ったから大丈夫」と思いがちですが、それがすれ違いの原因になることを覚えておきたいですね。

②伝わる構造は「7階建てのビル」
本書は「伝わる」を感覚ではなく、構造で説明します。それが7階建てのビルの考え方です。
1階:ゴール設定
2階:納得感
3階:相手ベース
4階:見える化
5階:聞く力
6階:親近感
7階:信頼感
どれか一つ欠けても、ビルは崩れます。資料が分かりやすくても、信頼されていなければ伝わらない。逆に、信頼されていてもゴールが曖昧だと行動につながらない。伝わらない原因を「話し方」ではなく「構造」で見直せる点が、本書の大きな魅力です。
③ファクトとメンタルの法則
伝わる人は、事実(ファクト)と感情(メンタル)を意識的に使い分けています。
例として挙げられるのが、吉野家の「うまい、やすい、はやい」。
「うまい」は感情に訴えるメンタル、「やすい・はやい」は事実を伝えるファクトです。この組み合わせがあるからこそ、誤解が生まれにくい。
仕事でも同様で、「この施策は効果があります」と感情だけを語ると期待値がズレますし、数字だけを並べると心が動きません。今はファクトを伝えるのか、メンタルを伝えるのかをはっきりさせることが、ミスマッチ防止につながります。
④言い換えでマイナスをプラスに変える
言葉は感情を左右します。本書で紹介される言い換えはどれも前向きです。
「めんどくさい」→「バージョンアップ」、「不安」→「修行」、「疲れた」→「頑張りました」。
現実は変わっていなくても、言葉を変えるだけで捉え方が変わる。会社員にとって、仕事の多くは「避けられないもの」ですが、言い換えは自分主導で出来ることです。ネガティブな言葉を使わない人ほど、周囲から信頼されやすい理由もここにあります。
⑤ネーミングの法則
ネーミング一つで、相手への届き方は大きく変わります。
自分ゴト化、新しい発見、キーワード、分かりやすさ、テンポ、コンパクトさ、少しベタ、流行語との掛け合わせ、例え、造語。
これらを意識するだけで、企画名や資料タイトル、メール件名が劇的に変わります。中身が同じでも、名前次第で「読まれるかどうか」が決まるのが現実。ネーミングはセンスではなく、技術であることがよく分かります。

⑥近江商人の「三方よし」の考え方
売り手よし、買い手よし、世間よし。この三方よしは、現代のビジネスでも再評価されています。
短期的な利益だけでなく、相手と社会の視点を含めて伝えることで、信頼は積み上がる。本書では、この考え方が「伝え方」にも通じていると書かれています。自分だけが得する説明は、長続きしない。だからこそ、三方よしは今の時代に合っているのです。
⑦発見した本能を言語化するときに使える技術
「なぜそれが良いのか」を言語化するのは簡単ではありません。そこで役立つのがセルフ問答です。
さらに、掛け合わせ法、脱2択、ずらす法といった思考技術を使うことで、本能や本質に近づけます。
例えば「営業×やさしさ」「効率×安心感」など、普段結びつかない言葉を掛け合わせることで、新しい価値が見えてきます。考える力そのものが鍛えられる点も、本書の大きな魅力です。
⑧「伝わる人」は「やさしい」を武器にしている
怒りや不機嫌は、確実に「伝わらない」を生みます。
イラっとしたときに、心の中で「やさしい人になろう」とつぶやく。この小さな習慣が、言葉のトゲを減らしてくれます。伝わる人ほど、感情をコントロールできる人。本書は、やさしさを弱さではなく、最強の武器として扱っています。
⑨伝え方がうまいかどうかがすぐわかる質問「あなたの仕事を教えてください」
会社名や肩書きだけを答えるのは、非常にもったいない。
「マネジメントをしている」「部下の成長を感じられた瞬間にやりがいを感じる」。このように、仕事の価値を語れる人は伝えるのがうまい人です。抽象的な質問に対して、相手の意図をくみ取って答えられるかどうか。それが伝える力の差になります。

⑩感情的になりやすい人の対処法
感情的な相手に、こちらまで感情的になる必要はありません。ビクビクした態度も逆効果です。
おすすめは「研究者視点」。なぜこの人は怒るのか、と心の中で冷静に分析する。あくまで心の中だけで行うことで、自分を守りながら対処できます。
伝える力とは相手を変える力ではなく、自分の心をしっかり保つ力でもある。本書はそのことを教えてくれます。
『バナナの魅力を100文字で伝えてください』は、話し方・伝え方の本でありながら、生き方や仕事への向き合い方までを支えてくれる一冊です。
「うまく話せない」と悩む20〜30代の会社員にこそ、手に取ってほしい本だと感じました。


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